1. 光と影
野外で私たちが目にする風景は、太陽から出る平行光によって照らされている。屋内ではさまざまな照明器具から出た点光源に照らしだされた物体が室内を表現している。両者とも光と影により物体と認識されているわけで、立体感を表現する要素として光は非常に重要である。 では、CGを作る場合はどのように光源を使用すればよいのであろうか。 皆さんもすでにCGアプリケーションを使用されていることと思うが、CGの光源と私たちの生活空間の光源とは大きな違いがあるので、これらの違いを交え説明しよう。 ■自然な光(太陽光) 図1、は太陽光に照らされた物体である。(実際にはラジオシティー法で計算したCGであるが自然光に近いためこれを参考とする) この場合、光は物体に照射された後に地面に反射して、再度物体の側面を照らしている。また、天空光(アンビエント)により物体全体がほのかに明るく表現されているので立体感のある表現がされている。 |
CGの照明
平均的なCGアプリケーションには「平行光」「スポットライト」「点光源」などの数種類の光源を持っている。 この章では太陽光と同じ扱い方をする「平行光」を使い、光のあたり具合を示してたものであるが、図2から図4のように光の向きにより大きな表現の違いがあることに注意してほしい。 CGの光と自然光との違いとして「CGの光は直進的で周りの環境に影響されない」そのため均等に物体を照らすには好都合であるが、立体感のあるように表現したい場合などは物体を照らす方向に注意する必要がある。(高度なCGアプリケーションにはあらかじめフラッシュ光が用意されていて立体感のあるように自動的グラデーションをに付けるものもある) |
CGの照明2
物体を照らす光が斜めから当たり各面の明るさの違いがでないためにぼんやりした表現になってしまった例 |
CGの照明3
光の向きが図2とは逆になり、明るい面と暗い面のコントラストが強く現れてしまった例(周辺光をもう少し明るく表現すると明るい面がとんでしまう) |
CGを立体的に見せるための工夫
図5は図3の光源方向の構図に補助的に光源を追加して立体感を強調したものである。 使用した光源は平行光であるが目的によってはスポットライトや点光源を効果的に用いることも必要だ。強調したい方向に光の強弱をつけた照明を配置すると立体感を強調できる。 |
2. マッピングの利用
光源の効果は理解頂けたでしょうか。その他にも立体的に表現する方法としてマッピングによる方法を紹介しよう。 図6は任意に作ったマッピング素材を使用して計算した画像である。これまで説明して来た画像と比べると、マッピング素材の方向性も関係して、こちらの画像のほうがより立体的に表現されている。 この方法は現実的な見え方を似せたテクニックであり、マッピングの素材を変化させることによりさまざまな表現を可能とするので是非ともチャレンジ頂きたい。 |
3. 計算方法による表現の違い
一般的な三次元アプリケーションでは計算法に「レイトレーシング法」「スキャンライン法」「フォンシェーディング法」などがある。これらの計算法でCGを制作するには、照明のテクニックを駆使して現実感のあるリアルな画像を作るノウハウを蓄積する必要があるが、これこそプロの技ということで門外不出を守っている方もいるようだ。 時間と余裕があればいろいろな研究も可能であるが、そのような面倒なことをしなくても効率のよい計算方法があるので紹介しよう。 図7はいちばん最初にご覧頂いた画像(自然光源)の計算に用いた絵で「ラジオシティ法」というレンダリングを使っている。ラジオシティ法は光源が一つしかない場合でも物体の配置されている環境をリアルに表現することが出来るので便利である。 但し、ラジオシティ法で計算する場合にはモデリングなど諸条件を理解する必要があるので事前にチェックする。なお誠に申し訳ないが、ラジオシティについてはこの章での説明は省略させて頂きます。興味のある方は独自に調査ください。 |